メルケル 世界一の宰相

教養

書 籍:メルケル 世界一の宰相
著 者:カティ・マートン(訳者:倉多幸信、森嶋マリ)
出版社:文藝春秋
発行日:2021年11月25日(今回は第4刷を購入しました)

【目次】
プロローグ 牧師の娘に生まれて
第1章 共産主義の秘密警察国家・東独で育つ
第2章 物理学科の優秀過ぎる女子大生
第3章 東独トップの科学アカデミーへ ―袋小路の人生
第4章 ベルリンの壁崩壊 ―35歳で政治家へ転身
第5章 コール首相の”お嬢さん”と呼ばれて
第6章 初の女性首相へ登りつめる
第7章 ブッシュ大統領と親交を結ぶ
第8章 プーチン、習近平 ―独裁者と付き合う方法
第9章 ベールに包まれた私生活
第10章 オバマ ―条件付きのパートナー
第11章 緊縮の女王 ―ユーロ危機と経済大国ドイツの責務
第12章 民主主義の守護天使 ―ウクライナを巡る攻防
第13章 難民少女へ見せた涙
第14章 二〇一六年、最悪の年 ―英国のEU離脱
第15章 トランプ登場 ―メルケルは”猛獣使い”になれるか
第16章 ドイツにもポピュリズムの波が ―台頭する極右
第17章 ラスト・ダンスはマクロンと
第18章 コロナとの死闘
エピローグ 世界最大の権力を持った女性

私は、書籍を購入する前に必ず『目次』を見ます。
それは、全体的にどのようなことが書かれているかを把握するためです。
今回、こちらの書籍を購入するきっかけになったのは、『第1章』の見出しでした。
メルケルはドイツの首相を16年も務めた人物であることは知っていますが、東ドイツ(東独)で育ったことを初めて知りました。
見出しのとおり、東ドイツは共産主義秘密警察国家です。
メルケルが育った東ドイツでの生活に、とても興味をもちました。

メルケルは西ドイツで生まれましたが、牧師である父の意向により東ドイツへ移住しました。
東ドイツから西ドイツへ移住を求める人は多かったですが、あえて逆行したことがとても衝撃的でした。
本書には、メルケルが物理学者を目指した理由も掲載されています。
自由のない国に育つとはどういうことかを知るには十分な内容です。

メルケルが政治の表舞台で活躍する姿を描いているのはもちろんのこと、メルケルの私生活も描かれています。
とても首相であることを感じさせない生活に、私は日本の首相と比較せざるを得ませんでした。
本書で、私がメルケルにいちばん好感をもったところです。

1989年。
1月、日本では年号が昭和から平成へ変わりました。
6月、中国では天安門事件がありました。
11月、ドイツではベルリンの壁が崩壊しました。
メルケルにとって、ベルリンの壁が崩壊し、翌年に東西ドイツが統一されたときは、時代の変化を肌で感じたのではないでしょうか。

東西ドイツが統一されたあとも旧西ドイツと旧東ドイツでは大きな格差があったこと、これは本書を読まなければ解りませんでした。
メルケルが旧東ドイツ出身でなければ、格差がある実態をじかに感じることはできなかったかもしれません。
また、メルケルが物理学者であったからこそ、データの分析や根拠を重視して、政治に生かすことができたことを知ることができました。

16年もの間、ドイツの首相として、またEUの中心的リーダーとして活動していたことを考えると、ただただ感心するばかりです。
メルケルのみならず、ドイツの現代史を知るにも十分な1冊です。

 

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