「戦争と平和」の世界史

書籍

書 籍:増補版「戦争と平和」の世界史 日本人が学ぶべきリアリズム
著 者:茂木誠
出版社:TAC出版
発行日:2022年9月28日初版第1刷発行(初版第1刷を購入することができました。)

第1章 人類はいつから戦ってきたのか?
第2章 古代国家と戦争
第3章 中世の戦争と兵農分離
第4章 大義に支配された宗教戦争の時代
第5章 ウェストファリア体制と「徳川の平和」
第6章 国民国家の成立と「戦争の民主化」
第7章 『万国公法』と植民地支配
第8章 ビスマルク体制と明治日本の国際デビュー
第9章 明治日本の戦争
第10章 第一次世界大戦と国際連盟体制
第11章 昭和の軍部はなぜ暴走したのか?
第12章 日米戦争 破局への道
第13章 アメリカ幕府のもとで
第14章 日本を、戦場にしないために

私が注目したところは、やはりアヘン戦争アロー戦争です。
清朝と日本の外交の違いが、その後の歴史に大きな影響を及ぼしました。
“『万国公法』と植民地支配”の章より、とくに気になった部分を抜粋します。
 ペリーが二度目に来航した1854年、江戸幕府は日米和親条約を結んで開国しました。
 当時まだ小国だったアメリカは日本との戦争を恐れており、大統領フィルモアはペリーに武力行使を禁じていました。
ところが四年後、アメリカの態度は急変しました。この間、アロー戦争で清朝が大敗したからです。
 駐日公使ハリスは、北京を占領したイギリス軍が日本に迫る前に、アメリカと条約を結んで開国すべきだと論じました。自分の手を汚さず、イギリスという「虎の威」を借りたわけです。
 海軍力で侮られたから、不平等条約を結ばされた―
 幕府は海軍力の強化国際法の受容を最優先の課題と認めました。

また、“明治日本の戦争”では、主権国家について掲載されています。
 主権国家は国土を侵略されれば反撃し、国民の生命・財産に危害を加えられても反撃する権利を持ちます。北方領土や竹島を外国に占拠されても、国民を外国に拉致されても、憲法の規定で何も反撃できない現在の日本は、主権国家の要件を満たしていません。
 明治日本は違いました。琉球を日本の領土をみなす以上は、琉球島民は日本国民であり、その生命・財産を守る義務が日本政府に生じます。

当初、あとがきは、2019年、「令和」の改元5月に書かれたようです。
増補版では、ウクライナ戦争に関する章(日本を、戦場にしないために)が追加され、あとがきは、2022年8月に書かれています。
「ウクライナは中立国だったため、単独でロシアと戦う羽目になりました」という一文があります。
ここでは、国連五大国(米・露・中・英・仏)が起こした戦争を国連は止められないという現実と、集団安全保障などについて記載されています。

各国は、「明日はわが身」と防衛体制を見直し、新たな同盟関係の模索を始めました。
中国の恫喝を受けている台湾や東南アジア諸国は、ウクライナ戦争を深刻に受け止めているでしょう。
それでは、日本は?
この戦争を何か教訓にしたのでしょうか?

ただ「戦争反対!」と訴えるだけなく、現実的な安全保障体制の確立を考える必要があります。

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