書 籍:問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界
著 者:エマニュエル・ドット/池上彰
出版社:朝日新書
発行日:2023年6月30日(今回は第1刷を購入することができました)
【目次】
第1章 ウクライナ戦争の原因とジャーナリストの責任
第2章 終わらない戦争
第3章 無意識下の対立と「悪」への恐怖
第4章 アメリカの没落
第5章 多様化していく世界と我々
私が、こちらの書籍を購入した理由は、表紙に記載されている『「西側」はもはや少数派』という言葉です。
ウクライナ戦争において、国連総会のロシア非難決議に対して、反対したのは5か国、棄権したのは35か国です。
棄権したのが35か国もあり、『グローバル・サウス』といわれる国々が多いことに気づかされます。
つまり、『西側』に賛同しない国々が意外に多いというのが実感です。
私は、これまで世界史に関する書籍を読んできましたが、アメリカが仕掛けてロシア(旧ソ連)が対応するという構図があります。
たとえば、アメリカがNATO(北大西洋条約機構)を発足させたあと、旧ソ連がワルシャワ条約機構を発足させて対抗しました。
アメリカが核兵器を開発させたあと、旧ソ連も核兵器を開発させました。
今回は、ウクライナが”西側”へ近づいたから、ロシアが対抗するかたちで侵攻を開始しました。
ロシアの首都は、モスクワです。
モスクワは、ヨーロッパの近くに位置しています。
そのため、隣国のウクライナが”西側”に近づいたら、ロシアは緩衝国がなくなるため不安なのです。
かつて、1962年に『キューバ危機』が生じました。
アメリカがキューバに旧ソ連から送られてきたミサイルを配備していることを察知したことで、一触即発に至りました。
最終的には、旧ソ連がキューバからミサイルを撤去する代わりに、アメリカはトルコに配備していたミサイルを撤去しました。
つまり、アメリカが先にミサイルを配備していたということです。
こちらの書籍は対談形式で掲載されており、池上彰氏がエマニュエル・トッド氏に質問する形です。
今回、エマニュエル・ドット氏は反ロシア派でもなく反ウクライナ派でもなく、役割として中立の立場で発言しています。
“棄権”や“中立”という言葉は、“黙認”と捉えられる可能性があるのではないでしょうか。
被害を受けている人を”棄権”とか”中立”という言葉を利用して、「私には関係ない」と言っているようなものです。
中立の立場は客観的に分析するうえで非常に大切なことですが、やはり「被害者を助けない」という視点で考えてしまうと、私はどうしても著者の発言を素直に受け入れることができませんでした。
ただ、池上彰氏が『ロシアはもちろん悪いのだが―あとがきに代えて』と記してくれた言葉に救われたような気がします。
やはり、暴力は絶対にダメです。
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