感情を言葉で表現することが上手にできない人

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感情を言葉で表現することが上手にできない人がいる。
そのような人は「ヤバい」「エグい」「ウザい]「死ね」といった言葉を用いることが多い。

「ヤバい」の意味は、「危険または不都合な様子」「状況や具合が良くないさま」を表現するものである。
それが、いつの間にか「非常に興味をひくさま」「大変おもしろいと感じるさま」の意味合いをもつようになった。
これが、辞書などに記載されている、俗に言う「転じて」なのだろうか。
本来は否定的な意味合いをもつ言葉が肯定的な意味合いをもつ言葉にもなってしまった。
そうなれば、表現するための言葉の力が弱くなる。
肯定的な場合も否定的な場合も「ヤバい」の一言で終わってしまうのだから…。

私は、「エグい」の意味が解らない。
インターネットサイトの『weblio』には、「一般的に『過度』や『極端』を表す言葉である。
主に若者の間で使われ、感情や状況が通常範囲を超えていることを示す」(2023年10月26日 更新)と記されている。
私は、従来から用いられている「あくの強い嫌な刺激のある味覚」しか知らなかった。
現在の(インターネットの)辞書は、最近の若者の間で使われる言葉でも、言葉の意味として記されていることに驚いた。

また、単語を省略して用いることも増えてきた。
言葉を省略して用いるのであれば理解できる。
たとえば、「コンビニエンスストア」と「コンビニ」と言ったり「スマートフォン」を「スマホ」と言ったりすることである。
省略する言葉がなければ、「ボールペン」を「ボールポイントペン」と言ったり「SNS」を「ソーシャルネットワークサービス」と言ったりしなければならないので、それはそれで大変だ。

しかし、「難しい」という言葉を「ムズい」と表現するのは違和感がある。
テレビ番組を視聴していると、主演者が「ムズい」と喋っている画面上に「難しい」と文字情報で訂正されているところを見かけることがある。
やはり、“単語”を省略することはいかがなものか?

感情を言葉で表現することができない場合、2つに大別されるだろう。
それは、感情を押し殺す人と、感情を暴力で表現する人である。
言葉で上手に表現することができなければ、相手に自分の思いを伝えることができないため閉塞的になってしまう。
また、相手に対して、自分の考えや不満などを言葉にして伝えることができなければ、身体で表現するしかない。
その代表例が暴力を振るったり無視したりする行動である。

たしかに日本語は言葉が多いし、その分だけ多くの言葉を覚えなければならない。
しかし、言葉が多い分だけ表現が豊かになるのもまた事実である。
そして感情をより具体的に表現することができるようになる。

たとえば、絶景を見たとき「素晴らしい」「素敵だ」「美しい」「爽快な気分になる」「鮮やかだ」「空を飛んでいるような感覚になる」「青と白のコントラストが良い」といったように、言葉として記憶される。

それが「ヤバい」「エグい」「ウザい」といった一語だけで覚えたり感情としてインプットしたりしてしまうと、その言葉だけで相手に細かく表現を伝えるのは非常に難しい。
相手に自分の思いを伝えるには、自分が知っている言葉のなかから最適な言葉を選んで伝えつことができまい。
表現を豊かにするには、やはり表現する言葉をたくさん知っている必要がある。
「言葉を覚えたい」「新しい言葉を知りたい」という好奇心をもつことが大事なのかな?

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