文化大革命への道

書籍

今年、私が読み終えた書籍を紹介します。

書 籍:文化大革命への道 毛沢東主義と東アジアの冷戦
著 者:奥村哲
出版社:有志舎
発行日:2020年11月30日 第1刷発行(第1刷を購入することができました。)

序章
第1章 中華人民共和国成立の歴史的背景
第2章 急激な社会主義体制化と指導部の対外危機意識
第3章 「戒めの鑑」としてのソ連と独自の社会主義建設
第4章 廬山会議と認識の大転換
第5章 調整政策と社会主義教育運動
第6章 激動の一九六四年 ー文化大革命への傾斜ー
第7章 文化大革命
終章

こちらの著書で依拠しているのは、薄一波の回顧録『若干重大決策与事件的回顧』です。
薄一波は、毛沢東の比較的近くにおり、有能な経済官僚の一人として多くの政策に関与し、その決定過程をも知りうる位置にいた人物です。

毛沢東の活動で私が知っているものは、中華人民共和国の成立、大躍進政策、文化大革命の3つです。
天安門広場に毛沢東の肖像画が掲げられているのは、あまりにも有名ですね。

『中華人民共和国の成立』は、第1章に詳しく掲載されています。
その一部を抜粋します。
● 共産党にとっての「安定した領域」が存在し続けたのであり、まず旧「満洲国」の軍や警察、「匪賊」、地方武装勢力などを吸収し、ついで土地改革などの「大衆運動」を行なって食料や兵士の徴発を継続し、国民党の攻勢に耐えてその自壊を待つことができたのである。
● 東北には他地域よりも、土地改良など共産党が「大衆運動」をしやすい条件があった。

『大躍進政策』は、第3章に詳しく掲載されています。
その一部を抜粋します。
● 「『大躍進』の発動は、農業から始まった」。
● 高すぎる目標、成果を急ぎすぎる要求、大弁論によって道を拓くという風を吹かせる式の指導方法がもたらした副作用の最大のものは、やはりこれによって引き起こされた各級幹部の誇大風潮だった。
● 上からの高すぎる要求に、下はさらに高い成果や目標を示すことで応え、これをもとに上がさらに目標を高め、下がまた……という状況が繰返されたのである。
● 毛主席は……李富春同士の意見を容れて、少し融通を利かせて、「七年でイギリスに追いつき、さらに八年あるいは十年でアメリカに追いつく」ことを明確に提起した。
● ここで主要なのは鋼鉄だ。一九五九年に二五〇〇万トンに到達しさえすれば、我々は鋼鉄の生産量でイギリスを追い越すのだ」、と。
● 全国で製鉄経験のない九〇〇〇万人の農民たちが、土法(伝統技術)にもとづく溶鉱炉によって、鉄鉱石もないところではトタン屋根や鍋・釜、農具さえも溶鉱炉に投げ入れたりして、ほとんど使い物にならない粗悪な鉄を大量に作ったのである。

『文化大革命』は第7章で詳しく掲載されています。
その一部を抜粋します。
● 文化大革命は、社会主義に背く修正主義の政策を進めていると考える「実権派」に対して、毛沢東が「権力奪回」をはかって発動したものだった。
● 文化の名が冠せられているのは、毛が社会主義改造以後の階級闘争は文化や思想の面であると考え、ブルジョア的だと考えた思想・文化に対する闘争として開始されたからである。
● 紅衛兵たちは各地で暴れまわり、身の回りに多くの「実権派」を発見し、吊るし上げては打倒し、党の機構を破壊し、文化財などを破壊していった。
● みんながもうに忠実であると標榜して起こるこの大混乱を、毛自身ももはや統制できなかったが、収拾しなければアメリカや文革によって関係が急激に悪化したソ連につけ込まれる危険がある。
● ソ連と一触即発の状態になってしまった結果、ソ連を主要な敵とし、敵の敵は味方であるという論理で、毛はアメリカへの接近をはかっていったのである。

これで、私が中国に関する書籍はすべて読み終えました。
併読している書籍が、まだ7冊あります。
そのうち4冊ほど読み終えたら、世界史に関する書籍を3冊購入するつもりです。
いずれもイギリスが関与するものです。
世界史にイギリスはつきものですね…。

最近は、インターネットやYouTubeなどによる動画配信などによって、簡単に情報を収集することができます。
しかし、私は書籍、しかも紙を媒体とする書籍を購読することによって、1つずつ知識を積み重ねていきたいと考えています。
私は視力が悪いので、長時間スマートフォンを見ていると非常に疲れます。
パソコン画面は大きいので文字は見やすくなりますが、どうも馴染むことができません。

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