書 籍:「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき
著 者:保阪正康
出版社:講談社
発行日:2022年8月18日 第1刷発行(第1刷を購入することができました)
保阪正康さんを知ったのは、BS-TBSのテレビ番組『関口宏のもう一度!近現代史』です。
関口宏さんが保坂さんをパートナーとして迎え、2019年から2022年まで放送していました。
大政奉還から日本の独立が回復するまでを、詳細に解説していきました。
私は、保阪さんの圧倒的な取材力に感心しました。
書店で歴史のコーナーを眺めていると、保阪さんの書籍に目が留まりました。
最近発行された書籍で、しかも第1刷。
これは、即買いでしょう!
【目次】
第1章 プーチンの背信 ーウクライナ侵攻の真相―
第2章 ヒトラーの正体 ―独裁者の栄光と末路―
第3章 終戦・占領下の悲劇 ーシベリア、そしてマッカーサーー
第4章 指導者たちの真価 ー歴史登場者の行方―
終章 裏切られた者たち ー戦争の真実と庶民の抵抗―
保阪さんは、ソ連の崩壊後に、ソ連側からいくつかの文書が日本側のジャーナリストや研究者にも伝えられるようになり、そういう文書を見る機会があったようです。
スターリンは北海道北東部の西半分を自国の勢力圏に組み込もうとしていましたが、結局はトルーマンの拒否にあい、諦める形になりました。スターリンは北海道制圧を諦める代わりに、満州国で「捕虜」にした関東軍の軍人、軍属をシベリアに連行し、労働力として使役を課しました。
スターリンは北海道制圧を諦める代わりに、①関東軍の軍人、軍属をシベリアに送り労働力とする ②千島列島については軍を送り、日本軍の武装解除を進める ③日本人捕虜への思想教育を進め、革命戦士にして日本に革命を起こす という3つの案を現実に実行しようと考えたようです。
また、昭和14年(1939年)12月12日、ソ連の貨物船インディデルカ号(4200トン)が北海道宗谷郡の沖合1500メートルの海上で座礁した海難事故について、記載されています。
保坂さんは、“ある秘話”として紹介しています。
10ページに渡って、ソ連の囚人に対する扱いかたが詳細に記されています。
そして、この海難事故が、日本の「敗戦時、ソ連によるシベリア抑留という捕虜の過酷な運命へとつながっていったといえよう」と保坂さんはまとめています。
当然ながら、私は、この海難事故をこちらの書籍で初めて知りました。
保阪さんは、アメリカにあるナショナルレコードセンターを訪れ、占領期の日本の様子をアメリカ側の史料を基に調べました。
日本国民からの手紙が、日本占領のGHQ(連合国軍総司令部)、ダグラス・マッカーサー元帥宛てに殺到し、合計5万通に及んでいたようです。
なかでも、告げ口型の手紙は3割ほどあり、①腹いせ、不満、なんとか貶めたいとの文面 ②軍国主義の指導者の変節をなじる文面 ③敗戦後の不公平や戦犯処遇の曖昧さへの陳情 のタイプがあったようです。
マッカーサーは、退任後に「日本人の民主主義理解は12歳の子供と同じ」と喝破したのは、この種の手紙を読んだからではないか、とまとめています。
「日本人は戦争が連合国に有利になってからも、いつも日本軍が連戦連勝のごとくに報道されていました」
言うまでもなくこれは「大本営発表」を指していて、この偽りの発表が日本人の正確な認識を誤らせたということになるだろう。
なぜこんな誤った発表が繰り返されたのだろうか。「真相箱」はこうした誤りには2つの原因があったという。ひとつは宣伝のため。もうひとつは組織の責任逃れというのだ。この2つで意図的に戦果が誇大化した。
「終章 裏切られた者たち」には、衝撃的な内容が記載されています。
戦死した日本人は、敵国の軍人に殺されたのか? それとも、日本の高級軍人に殺されたのか?
それを問い続けたくなる内容です。

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