殺しの双曲線

十勝・帯広

書 籍:殺しの双曲線 -愛蔵版-
著 者:西村京太郎
出版社:実業之日本社
発行日:2023年4月10日 初版発行(初版第1刷を購入)

こちらの書籍は、1971年に出版した作品である。
そのため現在は文庫本しか販売されていないと思っていた。
書店をぶらりと歩いていると、単行本しかも愛蔵版で販売されていた。
さらに、初版第1刷であったため迷わずにその場で購入した。

私が西村京太郎氏を初めての知ったのは、テレビ朝日で放送されていた2時間ドラマ『西村京太郎 トラベルミステリー』である。
私がドラマを視聴していた当時は、列車そのものに関するミステリーが多かった。
列車の時刻表を用いたトリック、列車と飛行機を組み合わせてアリバイ工作をするトリック、列車のスイッチバックによってアリバイ工作を見破ったトリックなど。
新しくなるにつれて、思い出などを列車と絡めた作品が多くなっていった。

なかには十勝や帯広が舞台になった作品もある。
札幌―釧路間を運行する「特急おおぞら」を題材にしたものなどである。
幸福駅のトイレが殺人の舞台になった作品もある。

『殺しの双曲線』は、列車を用いた作品ではない。
沢田亜矢子氏が主演した2時間ドラマ『殺しの双曲線』を視聴したことがある。
山奥にあるホテルに招待された数名の宿泊客が大雪によって閉ざされ、外部との連絡が取れなくなり、その中で次々に殺人事件が発生するというものである。

私は、このドラマが『殺しの双曲線』のすべてだと思っていた。
ところが、本書を読むと、真っ先に双生児双子)に関する事件が出てきたため、私の頭の中で「?」がついた。
しばらく読み進めていくと、ドラマで見た内容が描かれ始めた。
双生児に関する事件と雪山での事件は別々のものであったが、接点が生じた。

1971年の作品なので現在のように通信機器が発達している時代ではない。
私は携帯電話がなかった時代を知っている世代なので、とくに違和感なく読み進めることができた。
当然であるが、文中に「スマートフォン」「メール」「SNS」などという言葉は出てこない。
かえって新鮮な感じがした。

略歴には、西村京太郎氏は2022年3月に逝去(享年91歳)され、生涯の著書は640冊を超えると記されている。
私が知っているかぎり、同じ作家である山村美紗氏と仲が良かった。
女優の山村紅葉氏の母である。
そのためか、西村京太郎氏が原作のテレビドラマには必ずと言っていいほど山村紅葉氏が登場する。

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