書 籍:社会福祉の新潮流② 第四版 児童家庭福祉論 基本と事例
著 者:川池智子 編著
出版社:学文社
発行日:2005年4月10日 第一版第一刷発行(2016年1月30日 第四版第一刷を購入)
【目次】
プロローグ 子どもたちの〈居場所〉はどこに消えたのか
第1章 児童家庭福祉とは何か -概念、歴史、法制度-
第2章 少子社会における「子育ち、子育て支援」
第3章 「自立」へ向かう子どもたちへの支援 -学齢期の子どもと福祉-
第4章 家庭環境への支援を必要とする子どもたち
第5章 非行問題をもつ子どもたちへの支援
第6章 心身にハンディをもつ子どもとその家庭への支援
第7章 ひとり親家庭の子育て支援・生活支援
第8章 児童家庭福祉の専門職とその支援
エピローグ 子どもたちの〈居場所〉、“ふるさと”づくり
本書を購入したのは今から4-5年ほど前なので、おそらく2018年頃だと思う。
きっかけは児童家庭福祉に興味があったから。
本書は専門書なので時代の流れと法律が制定した背景なども知ることができた。
福祉では以前から「児童」という言葉が多用されてきたが、最近は「子ども」「こども」という言葉が用いられるようになってきた。
本書は2016年発行なので「こども家庭庁」「こども基本法」という言葉は出てこない。
第1章では、「家族・家庭の概念」「家族同士の関係性が希薄化しがちである」「離婚件数が年をおうごとに増加している」といった内容が記載されている。
また、児童福祉から児童家庭福祉という言葉が用いられるようになったことについても触れている。
つまり、「子どもへの支援=親または家庭への支援」でもあるからだと思う。核家族化、少子高齢化、その他さまざまな理由によって引き起こされて問題が生じている。
そのために福祉で何を支援すべきかを考えさせられる。
第2章では、1994年に出された「エンゼルプラン」から現在(本書が発行された時点まで)の施策が掲載されている。
おもに保育に関する内容である。
第3章では、まず「教育の重圧」と題した事例とともに「福祉の理念は、子どもの権利を擁護し「自立」を支援することである」と掲載されている。
この章ではソーシャルワーカー(スクール・ソーシャルワーカー)の重要性が記載されている。そもそも教育関係者と福祉関係者とでは関係者自身の学びの出発点が異なるのではないか? と考えさせられる。
また、オリエンテーションとして「記録を「書く」ことの意義 ―学童保育指導員の仕事の専門性を高める―」と題して、「記録を書くということは、自らの力を見つめなおし、言語の力によってとらえ、表現する作業である。
よく書けた記録であればあるほど、〈実践者=執筆者〉の「分身」のようなものである」と記載されている。
第4章では、社会的養護について記載されている。
社会的養護は施設的養護と家庭的養護に大別される。
施設養護には児童養護施設などがあり、家庭的養護には里親などがある。
第5章では、まず「触法少年の処遇の事例」で始まる。触法(14歳未満の犯罪)少年については現在も議論が絶えない。
日本の刑法では14歳未満の者については刑事責任能力を問わないからである。
また、児童自立支援施設や家庭学校が設立された経緯も記載されている。
ちなみに、北海道には遠軽町に北海道家庭学校がある。
第6章では、心身にハンディをもつ子どもたちについて掲載されている。
広汎性発達障害、自閉症スペクトラム、高機能自閉症、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの言葉が出ている。
第7章では、ひとり親家庭や離婚件数について記載されている。
母子福祉法から母子及び寡婦福祉法へ変更されたこと、そして現在は母子及び父子並びに寡婦福祉法へ変更され、ひとり親家庭の対象範囲が拡大されている。
第8章では、社会福祉の専門職に求められる専門性「価値・倫理」「知識」「技術」という3つの構成要素について説明されており、また児童家庭福祉を支える専門職の種類などが記載されている。
プロローグとエピローグでは、ともに〈居場所〉という言葉が用いられている。
子どものみならず、人にとって〈居場所〉は大事である。
家庭に〈居場所〉がなくなると子どもが家出するかもしれない、社会に〈居場所〉がなくなると自宅や実家に引きこもりになるかもしれない。
そのようなことを考えさせられた1冊であった。
コメント